かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

2023-01-01から1年間の記事一覧

空の空 そして

けれど 空になった器に満たそうとしても それはどうしても代わりのものではなくて 虚しいので 満たしても満たしても そうではない、そうではないと の繰り返し 山を歩いては穴の空いた器を携えて 歩く道中空にしながら ようやく気がついて 空であることを感…

空の空

色即是空,空即是色 玄奘訳『般若心経』 この世のすべての事象は,永遠不変の本質をもつものではなく,すべて空であり,また,空であることがこの世のすべての事象を成立させる道理であるということ あふれるほどに満たされた器が いつのまにか空になり そこ…

本の中の人

本が読めないはずだ わたしは本の中の人だったのだ 記憶力はあまり良くないが 本の中の人が本を読む設定ならば 本を読むであろうが 本の中の人は それどころではないほどに 船の中にいるように 波の上に揺らされて おおうみのときも 凪のときもあっただろう…

あおきよる辺

1 あおきそらのよる辺をうつすこころは久しく待ちし光をのぞみてつどう わたしはまつよ光を草の原の小さき水辺と 尊き遠きみずうみ やがてくらき青さはよあけとともに(光にとけて ここにいるここにいるよいまここにいる ちいさき水辺のほとりに 光となりて …

かけら

そこにはもう ないのだ 音のみぞしる さざなみの そこにもうなくとも カタチあり 美しき、よあけのうまれの朝 むかしのことばは むかしの「もの」語りは わたしの、 わたしの かけらをのこしていく そのかけらを またこなごなにしては 絵の具にし わたしは …

一鱗

さいはてに おおうみの 水面 一鱗の みつけし われも いきる よろこび 一鱗とは その言葉を知るほんの二日前に 朝日にひかる水面にきらりと うつる光をみた その光をたよりに鳥が魚をとるのだよ と傍らの人がおしえてくれる わたしはそれをおしえてもらって…

生き延びるための、

文章を書くことが好きだというよりも まさに言葉を書くことで自分と対話する そこにだれかが何かを言ったとしても それはわたしの世界であり わからないといわれても それでよく 共感した、と言われても 苦悩に満ちてる、大丈夫? と言われてもそれは仕方な…

・ わからぬことが多すぎて天を仰ぐのだと あきらめることは真理を明らかにすること手放すことは無くすことではないと ささやかにきこえぬほどのことに耳を傾けないと濁音にのみこまれる またあきらめきれぬ まがいもの真実が私の前を 横行する 蝋燭を灯して…

手放すこと

手放すことは失うことではない よろこびを持って手放すと 手放し方はしっていた けれど 手放すことはさしだして なくなってしまうことだと おそれおののき 握った手から落ちていく砂を眺めながら もう目の前にない現実さえも 握っていた いいえ手放すことは…

芙蓉

芙蓉 夏の朝 水のはったガラスには 芙蓉の花が満面に生けられている 幼きわたしが 朝起きると洗面所の金たらいに 水が張ってあるのをしる その一杯のみのたらいの水を みなが掬って顔をあらう 気づくといつのまにか 打ち水が玄関先にまかれており 涼をとるよ…

雲の纏い

雲も重いと雨になるどうも私はみずからの雲をあつめてしまいがちかろやかに浮かぶ雲になりたい ほんとうに雨を降らすときは天にいくときだ、と傍らのひとがいう雨を降らさないからといって雨の素がないわけではない軽やかだからといって哀しみが内包されてな…

心ふるえることを

よあけをみにいっていたが きのうは日暮れにたちあった 魂のふるえることだけをしよう リラックスして 他の人はよいのである 自然に触れるのよ と 言葉もかえる 思考もかえる 距離ができてしまった のは波動がちがうだけ 大丈夫 また振動が重なれば であう …

詩編23

He makes me lie down in green pastures; みどりの野に憩うわたしにhe leads me beside still waters; 水をあたえる神は he restores my soul. わたしのたましいをいきかえらせるHe leads me in right paths for His name's sake. 光の道へ 神よ Even thoug…

もし

苧麻=もし 朝鮮から伝わる苧麻ちょまのことを 現地ではもしというのだ なので日本ではからむし 韓もしからの言葉だろう もしを扱っている店にいくと 現地に精通している友がここは 死装束をつくる布屋さんだよと いう わたしにとって 大切、とは 切るに忍び…

紙にかく

直に描く とは 直に描くことが なくなりつつ あり ではいま あえて 描こう ではないか 描こうではないか 芯のところで こころがいう 私の雨露うろ、と 削られてしまった 心の片かたわれ、と 燃えつき 炭になってしまった わたし そのものたちと 墨汁となり …

舟 ただ 舟にのりこんでしまった 舟は凪ではうかんでるだけ 風がおきるとうごく 風が強いとゆれる わたしはどこにいくの 櫂をもてと友はいう その舟の船着場は あのひとの寄る辺 あのひとはよあけとともに漕ぎだそうと している まだ暗いうちに まだ暗いうち…

灰仕立て

たき木、はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきありのちあり。前後ありといえども、前後際断せり。灰は灰の法位にありて、のちありさきあり。 道元和…

土に綴る、土にうたう

https://youtu.be/ZqVkWhvbNmA もう枠にとどまることができない 土によばれて、 もしあるのなら 土の譜に 星の譜に こころをあずけて 歌っていきたい とすぐに忘れて 忘れたこともわすれて 何度もあきられるほどに ほうぼうからのサインに 気づくことに いま…

命を装う

・ 冬に口紅をかいました 多くの朱から店員さんに選んでもらう ルージュ(イタリア語で確か赤) よくかんがえてみると このように赤い色の口紅を 手に入れるのは初めてかもしれない 慣れない感じで口紅をつけると 紅をさしている、と二人からいわれました 紅…

ヤンファの花に寄せて

ほんとうのなまえは かくしておくものだ とらわれないようにと あなたのなまえは わたしのなまえは とはなびらが かさなるように かりそめの なまえが 芯の(真の) わたしをかくしていく わたしがなにものなんて あなたには わたしでさえ わからないのに う…

水俣、記憶 、花の億土へ

60年をすぎてもなお、惹きつけられるその理由は何故なのか。「歯止めとしての記憶」水俣病講演会に縁あって足を運んだ。 石牟礼道子著「苦海浄土」を読むと水俣病という「わたし」から遠い、過去にしてしまいそうな事柄にも関わらず、そこに起こっているこ…

演劇

とても楽しい どうしよう楽しい 終わってほしくない と娘はいう たぶんそんな風にいうのは 初めてだ 静かであまり自己主張もせず 言葉はとてもある人なのだが 出すのがあまり上手ではない それはいざとなると私も同じで (というと驚かれるが) 気質は違うけ…

定点観察

きっとここは わたしのなにかに とてもたいせつな なにかに触れる場所だ と 思う 若いときは いつもそれをさがしていた とても探すように 動いていたとおもう いつのまにか 同じ場所に住み続け 家庭という心地よさを 味わい 庭を耕す整える日々 整えられてい…

大切

もし わたしから 言葉や文字や いろいろな記録のものが きえてしまったとしても 魂の記録まで 消すことはできない わすれようとされても けされようとされても もしかすると なまえまで わからなくなっても 刻んだ大切な記憶 大きく刻む 大きく切るように 刻…

小満

小さく満ちる なのか それとも 小さな満たし なのか ただその日の 言葉に いま在るところを思う サルトルのいうところの実存主義 ここに在るとすれば ここに在るのだ わたしがそう信じれば みあげれば 湖は私であり あけゆく空は私であった 「すべては 内側…

無題

芽が 芽であり 葉が 葉である 花が 花であり 蕾、開きいづれまた散る そのさまに そのものとして 寄り添っているひとだと ふと言われた 自分が種であるときに 花ということが わたしにはできないし 花であるときには 花でいる そのひとはなぜそんなことを 伝…

傘さして

晴れた日には すぐにはこまらぬが 雨の日には ずぶ濡れになる いつのまにか 晴れた日に日傘はもてど 雨の日に傘を持ち歩かなくなった ずぶ濡れになっているのに 傘を刺しなさいよ、と 心がずぶ濡れになったとき いわれた おひさまが出ている時の 傘と あまぐ…

日々是好日

熱を出して 当たり前の日々のことが 全くできない 簡単にできていたことが すすとできなくて 日々はその積み重ねで 重ねてかさねて いくのだと 伏せる日も 鬱陶しさは あるけれど感謝で きっとまた作ろうとする 日々のごはんや 洗濯、掃除も させてもらえる…

うまれたひに

みずからを みずからの場所で 咲かせている花のようなひとが おめでとうと その置かれている場で 言葉なき言葉で 花を咲かせている その声は 遅れて けれどちょうど よいときに 朝の風の流れに 乗ってたどりついた 言葉はなくていい 言葉がほしいと 思ってい…

内なる詩人 

わたしの中に詩人がいる 内なる詩人がいる 詩人は私が話す時に沈黙し 黙すると静かに語り始める 詩人はあまり言葉を信用していない 呻きや嘆きだかが 表し得るものがあることを知っている だから詩人はずっと泣いていることもある 詩人はあまり言葉を信用し…