かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

砕かれた草

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一年以上お会いしてない方から

砕かれた草という

本が贈られてきた

 

 

茶道をはじめ

西洋的な、キリスト教の観点から日本の文化についてかかれたものだった

 

茶室や床の間は私は謙遜という言葉を

彷彿させる

その最たるところは

粉にした茶をのむというところだ

そこにむかうために

最大の敬意を持ちつつ

人は歩む

 

狭き門から入るその躙り口

奥に拝する掛け軸、野のように生けられた花

言葉の宇宙がそのちいさな空間に広がる

人はそこに差別なく所狭しと場に会する

 

そこに良きも悪きもない

ひとつの茶碗の濃茶を皆でいただく

 

砕かれたものをいただく

 

茶は薬草の中の薬だ

 

 

砕かれた草は

砕かれたたましいにこそ

ふさわしく

病いに伏し

心を砕かれた人

 

謙遜という言葉に寄り添う

 

砕かれている感覚

それは痛みをともない

ほんとうに砕かれたとき

それは薬となり

 

卑下するのとは全く別の

へりくだらざるをえない

感覚に歩むとき

 

茶はありのままの姿より

いまはその細やかな粒子の世界に

自らをも置いてともに融合するがごとく

その宇宙に在るのを良しとしている

 

わたしも草なのだ

形をなくしては

肉体という私は

なくなるが

 

たましいという存在が

わたしであるのなら

いまわたしは粒子となった

草と同じくして

 

砕かれたたましいは

砕かれた草とともにいるのだ