かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

空の空 そして

 

けれど

 

空になった器に満たそうとしても

それはどうしても代わりのものではなくて

 

虚しいので

満たしても満たしても

そうではない、そうではないと

の繰り返し

 

山を歩いては穴の空いた器を携えて

歩く道中空にしながら

ようやく気がついて

 

空であることを感じる

いや

空であるのに

 

空でないように感じてた

麻薬のようなものが切れただけで

その幻覚に心は満たされていると

そして満たされていない

 

空、それも空の空なのだ

いやもっともっと空っぽなのだ

そこに徹するとき

 

ない

 

がいつのまにか

大いなる「ない」

に満たされていく

 

空の空とは

「ある」

 

わたしはある

IAM

 

イコール神といいあらわされる

 

 

「ない」

の深みをみる

 

 

ああないんだ

なんて虚しい

 

わたしはあるになりたい

とすがるようで

 

その、ないの

清々しさよ

 

満たそうとすることをやめた瞬間

また

そうせざるを得なくなった瞬間の

 

豊かさたるや

 

 

ものづくり・工芸

に惹かれるワタシ

 

 

空になった魂が求めて

工芸のたびをしたがるのは

たぶんそこと繋がる

 

 

禅のような思想と民藝が

強く繋がるように

 

言葉を使いたいと思えば思うほど

私から言葉は遠ざかっていく

 

所詮言葉は与えられるもの

求めるが執着するものではない

 

 

解き放ち

もしくは

とりあげられ

 

(主はあたえ主はとられるーヨブ記より)

 

 

取り去られたときもその空しさに

あの春のように味わうことがまた

できようか