かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

手放すこと

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手放すことは失うことではない

 

よろこびを持って手放すと

 

 

手放し方はしっていた

けれど

手放すことはさしだして

なくなってしまうことだと

おそれおののき

握った手から落ちていく砂を眺めながら

もう目の前にない現実さえも

握っていた

 

 

いいえ手放すことは失うことではないのよ

という声が聴こえてきた朝

美しい満月の名残を

みに湖へむかう道で

わたしは神に祈った

 

ひと知れず祈る言葉ですら

いちぢくの葉でからだをかくすように

きれいごとだけをつたえていた

 

その神に

わたしのくるしみを伝えたのだ

 

神は沈黙する

よきにしろ

悪きにしろ

 

湖にいったとて

曇天もあり、上がりきった陽の光を

浴びるだけのこともあるが

 

陽を帯びた

青色にかがやく空の月と

反対に

大きな湖と対になるちいさな湖からは

いく人もの、

そしてわたしが放った美しいものが表されているようだった

 

手放すことはなくすことではない

手放すことは失うことではない

 

 

手放すことはわけあうことでもあり

分かちあうことでもあり

手放すことは蒔かれることでもあり

 

いただいているギフトが箱から放たれるかのように星屑のように

湖面に、空にかがやいたのだ

 

よろこびとともに手放したのです

美しさはわたしの前にあり

美しさはわたしの後ろにあり

 

わたしの周りには愛が満ちている

 

ひとりでたっているからこそ

ひとりでいるからこそ

 

わたしひとりをとらえて離さぬ

美しさよ

 

言葉での問いは言葉の祈りは

言葉でかえらないことがある

 

返事、うけとりました

ほんとうにありがとうと

 

てばなしの

手紙を届けてくれただろう

水鳥に礼をのべた

 

 

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手放しで

喜べない

という手放し、とは

そういう無条件のようにみえる

言葉の奥深さ