かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

「あらない」

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ひらがなの、素朴な音が好きだ

 

少し熱が出ようとしている予兆の心身に

手紙が届いた

 

https://ameblo.jp/mirumirumanimani/entry-12760929142.html

 

みるまにが

投函してくれたそのてがみは

 

時限装置のように

弱る私にじわじわと

未来からやってくる助け手のように

届く

 

みるまに、という

彼女の名は

実在しているのか

していないのか

そのあわい、あいまいな

音の響き

 

その音が好きで

何かあると呪文のように私は

呟く

みるまに、まにまに

みるまに、まにまに

 

気づくと海を潜って彼女はやってくる

 

 

 

糸を携えて

意図を携えて

 

海は彼女のイデアであって

(勝手にそう思っている)

海に潜る勇敢な女性のようで

浮遊する私の意図ですら

すくいだしては具現化するひとなのである

わたしは浮遊している木の葉の存在くらいな感覚で

 

わたしは

何もないが有る

と彼女のまえだといわざるを得ない

 

 

あるようでない言葉

 

「あらない」という言葉を

小説の中にみつけて

 

みるまに

まにまに

 

とまたつぶやくのである

 

 

いつのまにか

辿り着く先

 

彼女からの手紙は

ボトルシップみたい

けれどいつ届くかわからぬそれとは

違って、しっかりと地に足のついた女性が

海に潜るようにとどけてくれる

 

I'm nobody Who are you?

 

ディキンソンがそうつぶやく数百年後

あるに満ち満ちているその先のサイハテに

しらないわたしをぬいとめてはすくいだす

わたしも呼応してそのように

目をあけて海中をのぞくそれくらいは

豊かな海と親しくなりたいと

思う夏のおわり

秋のはじまり

 

 

 

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