かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

渡り鳥

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何も湧いてこない

何もおとずれてこない

 


ズドンと鈍器のようなおもしが蓋となっている

 

 

 

暗闇と痛みだけ

重さとかなしみ

 


痛みさえ通り越して何も感じない

とどいた手紙も封印されてきっと届かない

 


風だけが吹いている

すすきの原を風が吹いている

 


わたしはいつのまにかその重石になっていた

地面から暮れていく空を石がながめる

 


渡り鳥が曲線を描いて飛んでいくね

とそばにいた石がいう

 


ほんとうに?

目を凝らすと

ああほんとうに

 


染まる暮れゆく空を

渡っていく

点の群勢が

天の群勢が

 


めをあげると

重石はすこしかるくなっていた

 


重石のすきまから溢れるものたちのささやかなこえをきく

 

 

 

湧き出る泉の場所はここにあったのだ

言葉を押しとどめていたのはわたし