今回園のバザーで短いお話を憶えて素語りさせてもらいました。
読み聞かせでよむのとちがって体にも言葉を落としこむ作業のなか、このグリムの星の金貨というお話を何度となく反芻した。
ちいさな貧しい女の子は歩いていく中で出会う人、出会う人にどんどん何もかもあたえ尽くしてしまう。
なにもなくなってしまった、暗い森の中で彼女はなにを感じていたんだろう。
どうして貧しさの中にある人に神さまはあえて、与えるということを課すのだろう。
彼女があたえ尽くした暗闇の中。
おはなしをしているとその情景がふっとあらわれるときがありました。
不思議なのだけれどそこに彼女の中に悲壮感がない。与え尽くすことの達成感すら感じる。
「かみさまを信じる心を彼女はいつももっていました。」
かみさまの何を信じていたのか。
自分が与えられているものはかみさまから来たもの。かみさまは豊かな方だ、という確信。一見自分をすりへらしているようにみえるけれど実際はその真実を信じる心で満ちている。
「天から星がいっぺんに降ってきた。それはまばゆい光をはなつ金貨となった」
外側の状況に左右されず信じるとその豊かさが目に見えてやってくる。
女の子の、かみさまを信じるということは豊かさの根源とつながることなんじゃないか、と
語りながらふと思った。