かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

蝉の声

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あることに思いを巡らせていると

夢の中までその考えが巡っていて

おきるかおきないかの合間に

「新鮮な」蝉の声が朝早くから聴こえた

ほんとうにそれはびっくりするほど

新しい鳴き声で

こどもがおかあさんの胎内からでてきたときの泣き声のような

神聖で新しい声だった

 

土の中で何年も何年も

暗闇の中で何年も何年も

 

 

 

感動というのは誰の判断も要らない

感受性というのは女性性だという人もいるけれど

それがどうきこえようがどうみえようが

自分の思考がとどまることを得ないほど何かがゆさぶられる

いい方にも悪い方にも

 

久しぶりに死ぬことについて考えている

有名な若い俳優が死んだことに

随分と自分でもびっくりするくらいに揺さぶられている。

 

ブレイディみかこさんの書いた金子文子について

奇しくも蝉の声のエピソードがかかれていた。

(神さまはどうしてこうやってメッセージをどうにかして伝えようとするのかわからない。)

 

金子文子は死のうとしていたそのとき

油蝉の鳴く声に覚醒した。瞬間に文子の楽天性に死をくいとめた

地獄であろう自分の生きる道に

世には愛するべきものが無数にある

美しいものが無数にある

ここばかりとは限らない

世界は広い

 

、、、、

私のこの前きいた蝉の声は

金子文子の伝える楽天性だったのかもしれない

 

地獄かもしれない世界

土の中からでも

世の中は広い

世界はあいするべきものが無数にある

世界は美しいものが無数にある

 

 

 

生きたい気持ちと裏腹の

死への誘いをめざまし時計のような

蝉の声が、は!とさせる

 

長引く梅雨に身体もおかしくなりそうだけれど

また命の楽感性に力をあたえてくれるだろうか。