いつかのわたし
あのときのわたし
みるけしき
きくけしきに
とびこんでくる
苗を植える前の水田に
月がまあるくうつる
喜びの種を
かなしみのたねを
なにをまくかは
わたししだい
しらずしらずに
まいたたねは
こうやって
月とともに
わたしをうつしだす
鏡のようにうつる
水面をゆるやかにこわす
蛙の跳び
わたしのかなしみと
ともにはばたいてくれる
一羽の白鷺
一度まかれたたねも
草になり
種になり
またときはなたれることを
知っている
循環の前の
のびあがる前の
水のひろがりは
そのはてしない世界の存在を
きづかせてくれる
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