届けられた一枚
木がその布をつかまえる
うごきのある風と
動かない木の対話
わたしからうまれた布を風がとどけてくれた
と木がとどまることのない風に口ずさむ
天から刺す縦糸のような無数の光
わたしの手が横へ横へと
光から光へと渡していく
言葉のない語り
土からきこえる叫び
だれかのかなしみや
だれかの怒りが
大地を通して浄化されていく
声が届かぬのなら
風は木を通して届けようとする
光は、そのさす方向で人に気づかせようとする
ああいま
いつのまにかとどいた一枚
わたしの前にある
光が刺す方向に
糸をを通そう
声なき声を光の刺す方へ
言葉で届かぬなら心に届くよう
虹のように光の色をつかまえる