かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

うまれる人

 

 

 

 

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かつての、

もう憶えていない

球体にいた感覚を。

 

、、、、、、、、

「わたし」はいま球体の内にいる。

否、外にいる。

制限のない宇宙に浮かんでいるようだ。

 

不安なのだろうか

安心なのだろうか

言葉にならない

 

 

いつのまにか、気づけば「わたし」は

母の球体の中にいた。

制限のある宇宙

けれどそこは制限のないあの空間に似ている。

 

わたしはそこで丸まっていよう。

いづれでていくだろう、

あの空間にいたときのように、

無制限にひろがっていくために、

縮こまっていたい。

力をためていたい。

 

 

わたしはまだかすかに憶えているあの世界でいたときのように手をひろげ足をひろげるんだ。

、、、、、、、、、

そこには善いもので満ちている

私をかなしませるものは何もない

 

私は球体のなかで浮かぶ

球体の外で浮かぶ

 

ああ、どちらが中で外なのかもうわからなくなってきた

 

おしだされる海の中

海、出される

 

そこには地があった。

 

私は浮いていたい、まだうまれ出たくないとまだおもいながら

 

ぼんやり味わったことのない感覚がうまれる

 

わたしと共にいた人はわたしを包んでくれる

わたしを待っていた人はわたしをだきしめてくれる

 

浮いていたい

浮いていたい

 

おかれたくない

 

けれど

 

そのおかれたところで

 

地がわたしを歓迎してくれるのを感じる

 

地はわたしに触れよ、という

私はずっとういていたかったけれど

 

触れる喜びを知った

 

つつみこまれる、だきあげられるときの

触れる喜び

 

地とわたしは仲良くなれるだろうか。

 

浮いていたことを思い出して私は泣く

 

けれど泣きながら地との出会いに、包んでくれる者たちに、笑うことも知る

 

浮いていたことをかすかに薄れていくことになきながら。

 

 

 http://sallygarden.hatenablog.com/entry/2017/01/12/195246