かやつりぐさ

綴文字 紡グ詩

水俣、記憶 、花の億土へ

60年をすぎてもなお、惹きつけられるその理由は何故なのか。「歯止めとしての記憶」水俣病講演会に縁あって足を運んだ。 石牟礼道子著「苦海浄土」を読むと水俣病という「わたし」から遠い、過去にしてしまいそうな事柄にも関わらず、そこに起こっているこ…

演劇

とても楽しい どうしよう楽しい 終わってほしくない と娘はいう たぶんそんな風にいうのは 初めてだ 静かであまり自己主張もせず 言葉はとてもある人なのだが 出すのがあまり上手ではない それはいざとなると私も同じで (というと驚かれるが) 気質は違うけ…

定点観察

きっとここは わたしのなにかに とてもたいせつな なにかに触れる場所だ と 思う 若いときは いつもそれをさがしていた とても探すように 動いていたとおもう いつのまにか 同じ場所に住み続け 家庭という心地よさを 味わい 庭を耕す整える日々 整えられてい…

大切

もし わたしから 言葉や文字や いろいろな記録のものが きえてしまったとしても 魂の記録まで 消すことはできない わすれようとされても けされようとされても もしかすると なまえまで わからなくなっても 刻んだ大切な記憶 大きく刻む 大きく切るように 刻…

小満

小さく満ちる なのか それとも 小さな満たし なのか ただその日の 言葉に いま在るところを思う サルトルのいうところの実存主義 ここに在るとすれば ここに在るのだ わたしがそう信じれば みあげれば 湖は私であり あけゆく空は私であった 「すべては 内側…

無題

芽が 芽であり 葉が 葉である 花が 花であり 蕾、開きいづれまた散る そのさまに そのものとして 寄り添っているひとだと ふと言われた 自分が種であるときに 花ということが わたしにはできないし 花であるときには 花でいる そのひとはなぜそんなことを 伝…

傘さして

晴れた日には すぐにはこまらぬが 雨の日には ずぶ濡れになる いつのまにか 晴れた日に日傘はもてど 雨の日に傘を持ち歩かなくなった ずぶ濡れになっているのに 傘を刺しなさいよ、と 心がずぶ濡れになったとき いわれた おひさまが出ている時の 傘と あまぐ…

日々是好日

熱を出して 当たり前の日々のことが 全くできない 簡単にできていたことが すすとできなくて 日々はその積み重ねで 重ねてかさねて いくのだと 伏せる日も 鬱陶しさは あるけれど感謝で きっとまた作ろうとする 日々のごはんや 洗濯、掃除も させてもらえる…

うまれたひに

みずからを みずからの場所で 咲かせている花のようなひとが おめでとうと その置かれている場で 言葉なき言葉で 花を咲かせている その声は 遅れて けれどちょうど よいときに 朝の風の流れに 乗ってたどりついた 言葉はなくていい 言葉がほしいと 思ってい…

内なる詩人 

わたしの中に詩人がいる 内なる詩人がいる 詩人は私が話す時に沈黙し 黙すると静かに語り始める 詩人はあまり言葉を信用していない 呻きや嘆きだかが 表し得るものがあることを知っている だから詩人はずっと泣いていることもある 詩人はあまり言葉を信用し…

信頼について 引用

信頼とはいきることの基盤をなしている 自己への信頼も他者との信頼の間に育まれる。心を開いてくれる他者と出会えたとき人は他者との間だけではなく 自己との新しい関係をも結ぶことができるのはそのためだ 心を開くとは 他者を迎合することではない そうし…

田傍の草

田植え前の水の満たされる姿が好きだ 草をそして草花をよむことが好きだった人が 旅立たれたのは この季節 どのような草かもわからずに その音となまえだけをたよりに いつのまにかその草の名とともに ことばをわたしもよむことになった なまえというのは不…

now is the time

なまえというのは 驚きである エネルギーだけを ここ数ヶ月感じていた存在が いまこうやって 世に出てきたと 知った時 名を知った時 まだこの目であったこともないのに 涙がとまらない といういま 詩はできても歌はできないと 言っていたわたしに 歌が、すー…

茶の木

あらざらむ この世のほかのおもひでに いまひとたびの逢ふこともがな 言葉の奥にひそむ熱さは 真夏の 何年にもわたって地中に潜んで うまれ翡翠から日に日に 色濃くそしてなきさけぶ 蝉のごとく 表にでるときには もうすでに天にいくときなのかも しれない …

かほ

おどるひと 描くひと うたうひと おどるひとのおなかに 子をさずかり 一緒にうたいおどり描いたのは もう五年は前 そのときのえがくひとも 子をさずかり うたうひとであったわたし わたしは もうないであろう その授かりについて かんがえていたら 子を産む…

光と踊れ

わたしという存在が ひかりのようなものであるなら なにをどうしろというのだろう わたしという存在の 意義がひかりのようなものであるなら 輪郭をたどり 何かを成したとしても そこになにがあるというのだろう 日々授けられている 陽射し あたたかみ その熱…

この世はつまらない

あおむしあお というちいさなお話があり こどもたちに春のはじめのこの季節にきかせる 蝶になる前のあおむしは 地を這い、たびたびとんでくる 自由な蝶たちをみあげてはあそぼうと 問いかけるが けれどみなそこにはとどまらず 踊りに、あの木までいくのよ、 …

松井浄蓮さんという方

母と母の妹つまりは 叔母の家へ 理科の教師をされてい 叔父は早々と滋賀の山奥に 家を構えいまでは 写真と草花と戯れておられる こんなふうにあうことはあっても 親戚の家にいく というのはなかなかないことなのだが (以前に行ったのは25年も前であった) …

the weight

冬に友に急遽つれていってもらった 昔から存在だけは知っていたトラックザファニチャー スタッフをふくめて何もかも 趣味がシンプルで潔いよい ファンが多いのも納得 夫とあまりにでかけることが少なくて 今年は意識してどこかにいこうとなった 1回目 隣り合…

きらきら

見失いかけていた感覚を取り戻しつつあった春の日啓蟄のころ 写真されど写真 写真をみるまえに彼女の言葉にしばらく立ち尽くし 彼女の映像と声にまたしばしなきました ひとのあらわすもの形造るものはほとばしるそのひとの中に内在した宇宙 そのきらきらした…

anonymous

なんの肩書きも持ちたくない 以前は肩書きがいる、と思っていた いまは肩書きがあるからこそ それをおもてにだしたくない 本質で人と出会いたいと思うけれどそういうものがあるからこそ出会ったつもりになるし 少なくとも知り合ったりする 何者かわからない…

おはようおはよう

おはよう 今日もすてき なんてすてき わたしはあなたに あいにいく 手を繋いでいい? ときいてみる 勝手には繋がないよ でもとまらない 抱きしめる 抱きしめるよ 大好き 心の底から大好き あなたが 朝の風景が大好きなように 朝日に求めていくように わたし…

結露

こんなことで ないては こんなことで いきどおっては ここではやっていけない そうおもってふたをした ふたのなかの もやもやは そのうつわのなかで おられなくなり うつわがわれる われるうつわは かえがきかない じょうぶにあろうと われたことをむしする …

灯す器

灯す ここにいることは どこにいても 神様ご存知 だけど灯台のように きてください ここにいますと、 わたしは 灯す かみからの舟のようなつかいが その灯台をめざすように やってくる わたしは このうえない ゆたかなみずうみの 岸辺 あるいは ちいさな島 …

sounds of silence

・ 時間は決まっている 1秒の長さは決まっている 1時間の長さも決まっている 決まっているはずなのに 日の出と日の入りがめまぐるしく 音と光の点滅のように ときに激しく そしてときが止まったかのように ときに音もなく 静寂に 一定のリズムさえ刻まずに …

letter わたしからわたしへ

わたしからわたしへ (前略抜粋) 空虚になったとき どうにかしようとして 誰かに会ったり 何かで埋めようとして わたしは私の中の人とむきあえたかな (わたしはわたしに言わねばなるまい) だいすき 愛してる わたしがわたしにいう 大切な言葉 特別な存在 …

輪郭

朝起きたら寝る前もここしばらく考えていた その人の存在を忘れていた それは残念というよりも どこかでほっとした感覚があって けれども忘れていたとわかった途端 輪郭がみるみるうちに蘇っていく この輪郭さえ忘却していた 私のこころの変化に ほっとした…

room

クリスマスというと わたしはいちばん最初のクリスマスを 想像する 神の御子のイメージとはうらはらに 馬小屋の決して衛生的ではない場所で マリヤは普通ではない状況環境で出産しようとしている 寄り添うヨハネもまだ経験値の低い若い青年 社会的にもおおや…

あさひとりのじかん

土曜はまだ大人もこどもも 半ドン、昼まで学校や仕事があったころ 日曜の朝、大人はゆっくりねている家が多かったかとおもう わたしはそんな家族がまだ寝静まった朝にひとりで 朝ごはんをつくるのがだいすきな小学生だった。 おとながおきてこないようにそっ…

霜降

昨日 Liveの前に連絡がとれなくなっていた 友の死を知る 生きている不思議 死んでいく不思議 随分とあってなく 一月に連絡をとって その後返事がなく 病気というのは きいていて しんどいのやろうと そのままになっていた 共通の友人が 何か虫の知らせをかん…